現代主婦の誕生 (アメリカの事例中心)
ここでの記述は、アメリカの記述であると同時に、近代主婦から現代主婦に至る欧米の基本的なパターンでもある 産業化の展開
1940 年代には、洗濯機、冷蔵庫などが普及率 60 ~ 70 % 程度になっていた 誇張して言うと、経済全体が主婦の消費行動に依存する状況が生まれた
追加の収入を求める主婦たちの志向と重なり、現代主婦の就労への大きな力となった 家父長制の変容
欧米での特徴として、その役割の配分が夫婦愛や母性愛といった心性で支えられていること 現代主婦になっても、この基本的な構造は変わらない
役割が微妙に変化
収入に合わせてやりくりするのではなく、欲求に収入をあわせるように → 主婦が生産労働の領域に入ることが許容
よりよい家庭生活、いわばよりよい再生産のための就労
主婦業の範囲が拡大しただけとも言える
主体の側の対応
規範の変容の背景にあるプロセス
1. 事務職の増加を機に中流階級の女性の就労が増加し、女性の就労に対するイメージが肯定的なものに
2. 再生産労働の意味づけが変化
近代主婦にとっての再生産労働は愛の労働であったが、家電製品の普及が主婦たちに、その作業の代替可能性を認識させた
主婦の賃金労働の増加が、再生産労働が不払い労働であることを主婦たちに気づかせた
現代主婦の誕生
現代主婦が萌芽的に広がったのは 1940 年代
1950 年代には揺り戻しが発生
専業主婦を理想とする規範がマスメディアを中心に流布された
当時、既に増えていた高学歴女性の就労は、現代主婦たちに家庭の外に自己実現の場があることに気づかせた 彼女たちは夫や子どもを通じてしか自己実現できないことに不満を募らせた
家父長制の変容が本格化して、現代主婦が兼業主婦として全面的に展開するのは 1960 年代 欧米型の特徴
家父長制の中で、母性愛の占める重要度が高くなかった (夫婦愛が重要) ために、子どもを持つ母親の就労が許容されやすい
女性労働力率でいうと、M 字型から高原型への移行が生じやすかった この規範こそが、女性労働力率が M 字型になる理由
参考文献